福島県オフィシャルサイト【ふくしまの酒】

COLUMN

ふくしまの酒 LOVERS02

「誇るべき、
ふくしまの酒の
魅力」

ふくしまの酒を愛する方々にスポットを当てる「ふくしまの酒LOVERS」。第2回は、2022年4月から福島県日本酒アドバイザーを務める鈴木賢二さん。「日本酒の神様」と称される鈴木さんに、「日常の酒の楽しみ方」について聞きました。

鈴木賢二 (すずき けんじ)

福島県ハイテクプラザ職員時代に、酒づくりの指導方針をまとめた独自の「福島流吟醸酒製造マニュアル」を作成。品質向上やブランド化を促進し、全国新酒鑑評会での福島県の金賞銘柄数9回連続「日本一」に貢献。

  1. ――― まずは、ふくしまの酒との関りを教えてください!

    日本酒の味に目覚めたのは、大学(岩手大学農学部)で寮生活をしていた頃です。当時は偏食で、イカの塩辛やホヤなど、食べられないものが多かったんですけど、「お酒は、食べ物の味をおいしくしてくれる」と気づいたんです。卒業後、福島県会津若松工業試験場(現在の福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター)に就職し、30歳のときに酒の担当になったことをきっかけに、福島の酒と向き合うようになりました。以来、蔵元さんたちと協力しながら、福島の酒の質を高めようと奮闘してきました。

    ――― ふくしまの酒の好きなところは?

    芳醇、淡麗、旨口と表現されるように、香りが高く、軽やかで、スッキリとした味わい。そして、日本酒本来の味と適度な甘味が楽しめるところが魅力です。福島の酒は、あまりお酒が飲めない人にも「おいしい」と感じてもらえるはず。実際、「福島の酒は飲みやすい」と、女性にけっこう人気があるんです。銘柄ごとにはっきりとした個性を持ちながら、どの酒を選んでも失敗がないというのは、誇るべき魅力だと思っています。

    家呑みを楽しむ鈴木さん

    ――― 外呑み派? うち呑み派? 飲み方のこだわりを教えてください

    現役の頃は、外呑み、家呑みが半々ぐらいでしたが、昨年(2022年)の3月に退職してからは、家呑みが多くなってきました。日本酒は「差しつ差されつ」で、自然とコミュニケーションが生まれるのがいいところですね。最近は、妻と二人で晩酌を楽しんでいます。飲み方は、季節によってさまざま。最近は寒くなってきたので、お燗が多いかな。適量にしておこうと思うんですが、福島の酒はどれもおいしいので、ついつい一升瓶が3日で空いてしまいます(笑)。

    ――― お好みの酒器などはありますか?

    日本酒というと、升で呑むのが「粋」みたいなイメージがありますよね。升の角にちょっと塩を乗っけたりして。たしかに、日本酒にはグルタミン酸が含まれていますから、塩を加えるとグルタミン酸ナトリウムという旨み成分になるので、つまみが何もない時はありがたいんですけどね(笑)。でも、口に当たる部分が厚いから呑みにくいし、特に白木の升だと、木の香が勝ってしまって、酒の香りが楽しめないんです。
    私は、薄手で、呑み口が広がっているタイプの猪口(ちょこ)が好みです。わが家にはいろいろな酒器があって、その日の気分に合わせて選んでいます。昨晩は、プレゼントでいただいた錫(すず)の猪口で呑みました。錫の器は、お酒が柔らかく感じられるので、特に熟成したお酒にはピッタリだと思います。

    阿武隈の紅葉漬け。生鮭のとろりとした食感と、麹の芳醇な香りが楽しめる。(写真提供:福島紅葉漬株式会社)

    ――― 好きなアテは? おすすめのマリアージュを教えてください

    一番に挙げたいのが「阿武隈の紅葉漬」。鮭を麹で漬けて熟成させたものなんですが、本当においしくて、酒を選びません。あとは、「ニシンの山椒漬け」。会津人は生で食べるのが一般的ですけど、僕は少しあぶったものが好きですね。熟成した甘いタイプの酒にピッタリです。そして馬刺し。会津地方の馬刺しには必ず「にんにく辛子味噌」がついています。この香りを楽しむため、落ち着いた香りの酒をセレクトしたいですね。もうひとつ、居酒屋へ行くと必ず注文するのが厚焼き卵。香りが高い酒が合うんです。大吟醸があれば申し分ないですが、なければ、香りが高めの純米吟醸で楽しみたいですね。

    ――― 最後に、ふくしまの酒への「愛のメッセージ」をひと言!

    近年、福島の酒は、「全国新酒鑑評会」でコンスタントに上位の成績を収められるようになりました。でも、消費者が求める「おいしい酒」は、時代とともに変わっていきます。酒造りに携わる人たちは、その変化を敏感にとらえて、新しい味を探求していってほしいですね。同時に、鑑評会への出品で培った酒づくりの技術を活かしながら、「日常に楽しめる酒」をつくっていってほしいと思います。日本酒は私の仕事であると同時に趣味でもあります。今後も福島からおいしい酒が生まれ続けることを期待しています。