
DESIGN 01
スノードロップ snow drop(曙酒造)
「日本酒でできたヨーグルトの酒」という変わり種。低アルコールなので、「お酒は苦手」という人でも楽しむことができる。
スノードロップは花の名前。春を告げる可憐な花で、はかなげな姿とは裏腹に、力強く咲くのが特徴です。会津にUターンしてきたばかりの現社長から、「こんな酒をつくりたい」と相談を受け、一緒にレシピをつくりました。「ふだん日本酒に縁のない人たちにも手に取ってほしい」という思いから、やさしい印象のラベルをつくったのですが、デザインにこめた思いはお客様にも伝わっているようで、若い女性ファンに愛される商品となっています。

DESIGN 02
風が吹く(白井酒造店)
地元の農業法人「自然農法 無の会」のメンバーが栽培する有機栽培の五百万石を100%使用。飲み応えのある1本。
白井酒造店は小規模な酒蔵ですが、こだわりの酒造りで知られています。この酒は「現代の酒」と「昔の酒」の中間ぐらいの味わいが魅力。「すっきり爽やか飲みやすい」ではなく「じんわりと味わいが広がる」タイプですね。年間を通じた定番商品はなく、季節や造り方によってラベルの色が変わります。発売当時は、最も印象が強いラベルのひとつでした。「風」っていい字ですよね。ラベルのインパクトだけで購入されるお客さんも少なくありません。

DESIGN 03
ハツユキソウ ピーチ(峰の雪酒造)
日本酒の二段階発酵と、桃果汁のアルコール発酵で生まれた、まったく新しい製法のお酒。会津産の米と桃果汁を贅沢に使用。
ハツユキソウには「クリア」という純米酒もあるのですが、これはその派生商品です。リキュールのように果汁をただ混ぜるのではなく、日本酒と一緒に発酵させている点が最大の特徴。ピーチ以外にもバナナ、グレープ、アップルがあって、どれも奥行きのある味わいを実現しています。「今まで世の中になかった新しい酒を造りたい」という蔵元のチャレンジ精神がラベルにも表れていますが、製法の特徴をうまく表現できると、もっといいですね。

DESIGN 04
一歩己 青白橡(豊國酒造)
(いぶき あおしろつるばみ)
酒造好適米「美山錦」を100%使用した、一歩己の限定ブランド。やわらかな甘味と、ほのかな苦味のコントラストが特徴。
この蔵元は、特約店販売、インターネット販売禁止など、独自の販売方法で知られる会社。虚飾のない、ガチっとした印象のラベルからも、酒づくりに対する蔵元の「覚悟」や「矜持」といったものが伝わってきます。最近ではチャーミングなラベルもいろいろある中で、こういう「一本筋の通った酒」には魅力を感じますね。9代目の若き蔵元は、「何か見据えているな」と感じさせる人。10年後、20年後の酒づくりにも期待を抱かせてくれる存在です。

DESIGN 05
裏ロ万(花泉酒造)
「ロ万」シリーズの中から数種をブレンド。毎回、異なるブレンドでつくられる「裏」商品。毎年異なる味わいが楽しめる。
一見して「ろまん」とは読めない銘柄名ですが、これには由来があります。蔵元が伝統の「花泉」に次ぐ新たなブランドの構想を練っていたとき、仕込み番号を表す「一号」の文字が「一ロ万(ひとろまん)」と読めることに気づき、「酒造りはロマン」との思いと重なって、この銘柄が生まれたそうです。こんなブランドストーリーを知ると、お酒の味わいもいっそう深まるのではないでしょうか。裏ブランドではロゴを裏返すというアイデアも面白いですね。

DESIGN 06
純米生貯蔵酒 てふ(国権酒造)
ふくらみのある吟醸香が口の中を漂い、ほんのりとした甘みと、すっきりとした後味が特徴の上品な酒。春季だけの限定商品。
「てふ」のラベルは、端正で美しいデザインが魅力ですが、中身もラベルどおりなんですよ。てふにはグレーラベルの純米大吟醸もあって、それもおいしいんですけど、この白ラベルの純米生貯蔵酒は、ライトで、クリアで、スッと飲める……まさにラベルのイメージそのものです。ライトで飲みやすい酒は、ともすると「薄い」印象のものも多いのですが。これはふくよかな香りが楽しめて満足度が高い。料理の味を活かすので、食中酒にぴったりです。