日本酒は米、米麹、水をアルコール発酵させて造られます。ただ、原料であるお米には糖分が含まれていないため、米麹を使ってお米に含まれるデンプンを糖分に変化させてから、酵母の力でアルコール発酵を行います。
この酵母を
大量に純粋培養させたものが
「酒母(しゅぼ)」です。
「酒母」は「酛(もと)」とも呼ばれ、酒造りに欠かせない文字通り「酒の母」なのです。この「酒母」の造り方によって、日本酒の味わいも変化するというわけです。
生酛造りとは...
日本で伝統的に受け継がれてきた方法で
酒母を造り、日本酒を醸造する方法です。
水・麹・蒸米を半切桶(はんぎりおけ)に分けて入れ、その次に、蕪櫂(かぶらがい)という道具を使って、蒸米と麹をペースト状に丁寧に摺りつぶします。
これを「山卸し(やまおろし)」
といい、生酛独特の工程です。
この「山卸し」によって、自然界にある乳酸菌を取り込み、酵母を増殖させて酒母を造ります。
乳酸菌は、酒母の腐敗を防止する役割を担っています。
天然の乳酸菌による野性味ある芳醇な味わいが出せる反面、
酒母ができるまでおよそ1ヶ月間という期間を必要とします。
生酛に欠かせない「山卸し」の工程を行わずに酒母を造り、日本酒を醸す方法のことで、正確には「山卸廃止酛仕込み(やまおろしはいしもとじこみ)」といいます。
明治時代に、山卸しの作業をしなくても、麹の酵素の力だけで米粒が溶解することがわかり、生み出されました。
山廃仕込みでは、原料を投入する順番を変え、麹の働きで自然に自生する乳酸菌を取り込み、乳酸を発生させて酒母を造ります。
こちらも酒母ができるまで1ヶ月ほど期間が必要です。
山廃の酒母は乳酸菌と共生しながら育つため、
濃醇な旨味を持つ味わいの日本酒ができあがります。
豊かな旨味の酒造りができる生酛や山廃には、腐敗のリスクも抱えています。
その悩みを解決したのが
「速醸酛(そくじょうもと)」。
酒母を仕込む段階で醸造用乳酸を加えることで、雑菌の侵入を防げる安定した酸性の環境にし、腐造のリスクを軽減します。
また、乳酸菌が乳酸を造ってくれるのを待つ必要がないことから、15日程度で酒母ができあがります。
速醸系酒母で造られた酒は存在する微生物が少なく、乳酸菌が生産する副産物もないため、香りが立ちやすく、淡麗な味わいになりやすいと言われています。
「生酛」や「山廃」とラベルに記されていない場合は「速醸酛」で造られていることが多く、現代では酒造りのメジャーな方法となっています。
日本酒造りTIPS
日本酒を造る上での重要度。
一番が「麹(こうじ)」で次が「酛(もと)」。そして、もろみを仕込む「造り」の順に重要という意味です。
日本酒は「糖化」と「発酵」を同時に行う「並行複発酵」により醸造されています。
世界で類を見ない独特の製法で、複雑な工程と高度な技術が必要です。
ぜひ、お店で色々な日本酒に
挑戦してみてください。